家づくりの教科書

住宅営業が教える、住宅の選び方

◯地震に強い家を作るポイント!◯

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目次

新築だからといって油断できない耐震性

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「2000年基準」も3~4割大被害、筋かい破断など多発 :日本経済新聞

 この写真は、2016年に発生した熊本の震災で倒壊した建物の様子です。

 2件とも築10年以内の建物で、右側の建物に関しては耐震等級2を取得している建物となります。つまり、一般的には「地震に強い建物」と認識される住まいが倒壊してしまったこととなります。

 おそらく、こちらに住まわれていた方も地震に対してはあまり不安を感じていなかったのではないでしょうか。

 

 では、地震に強い建物を見極めるポイントはないのでしょうか。

簡単に見極めるポイントを紹介

 地震に強い建物はいくつかのポイントを抑えることである程度の精度を持つことが出来ますので、ご紹介いたします。

耐震等級を確認する

 もっとも単純なところでいうと「耐震等級」の確認です。

 耐震等級は建物の耐震性を3段階で評価しており、1が建築基準法どおり、3が建築基準法の1.5倍の強さとなっています。

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 これを見るとなんとなく「等級2でも大丈夫」なような気もしますが、冒頭の写真の通りで築5年程度の等級2取得の建物が崩壊している例もありますので最低でも等級3の取得がおすすめと言えます。

ポイント!

「倒壊・崩壊」しないレベルを前提としていますので、歪んで窓が開かなくなった、という状況が多少起きても基準には合致してしまうのが耐震等級の考え方です。

 

間取りによっても変化するので注意!

耐震性にこだわりたいんですけど、おたくの建物の耐震性はどうですか?

うちは耐震等級3相当の建物ですので安心ですよ!

 実はこんな会話は要注意です!

 耐震等級3を取得することができるメーカーや工務店であっても、実際にあなたの住む家がその能力を有するとは限りません。

 例えば、南側にやたらと大きい窓があったり、抜群の日当たりを求めて南東の角を丸っと窓にしてしまったりすれば一気に耐震性能は落ちてしまいます。

 ティッシュの箱を想像してもらうとわかりやすいかと思いますが、やはり「角」がしっかりとした作りになっているからこそ、形状を保つことができるのです。

 耐震等級3の住宅に住みたい場合は「住宅性能表示制度で等級3を取得したい」としっかりと伝えましょう。

 「住宅性能表示制度」についてはこちらをご確認ください。

www.hyoukakyoukai.or.jp

 

2階建〜の場合は直下率を確認する

 「直下率」と言われてもなかなかピンとくる人は少ないと思いますが簡単にいうと1階と2階のバランスがいかどうかです。

 単純に1階と2階の柱は一本で出来ている方が安定するのは何と無く想像できると思います。

 逆にいうと、例えば1階の広いリビングがあり、その中央にあたる部分に2階の柱が来ているような場合は2階の柱を支える力が弱く1階の天井部分が歪んでしまうこととなります。 このような建物だと、地震がきたときにも捩れが発生しやすいため耐震性を落とす要因となりえます。

 

単純に、屋根は軽い方が有利

 「支点・力点・作用点」は昔習った記憶があると思います。

 地震が起きた際、建物の場合は基礎部分が支点となり、高層階に行くにつれて揺れ幅が大きくなっていきます。

 このとき、支点からもっとも離れている屋根が重ければ重いほど揺れは強くなり構造躯体にかかる負荷も大きくなります。

 主な屋根材で考えると「瓦>スレート>ガルバリウム鋼板」の順に軽くなります。

 間取りやその他構造にもよりますが、一般的には瓦屋根をガルバリウム鋼板に変えるだけで3割ほどの耐震性向上が見込めると言われております。

 とはいえ、屋根材はメンテナンス性なども重視したい部分ではありますのでどの部材にするかは多角的に考える必要があります。

 

しっかりと地盤を調査する

 耐震性とは少しずれるのですが、地盤調査をした上で必要に応じて地盤改良工事を行うことも大切です。

 せっかく安全な建物を建てたとしても地盤沈下により建物に被害が出てしまっては元も子もありません。

 必ず実施しましょう。

 

まとめ

・耐震等級は最低でも3を取得する

・住宅性能表示制度を活用する

・直下率を確認する(間取り)

地震に強い部材を採用する

 

 

 

◯住宅ローン、借り入れ可能額を知ろう!◯

「家を買おう!」と決断するにしても 「まだ若いし、借入れできるかな…」 「転職したばかりだし、審査に落ちそう…」 

など お金に関する不安は様々あると思います。 今回はそんな不安にお答えします!

借り入れの条件

 基本的な借り入れの条件は金融機関によって変わりますので、まずはそれをまとめます。

民間融資の場合(銀行など)

銀行にもよりますが、基本的には

◯満20歳以上満71歳未満で、最終ご返済時の年齢が満81歳未満の方

◯安定した収入のある方

◯提携する生命保険会社の団体信用生命保険に加入が認められる方

◯原則、日本国籍の方または永住許可などを受けている外国人の方

と、このあたりが条件になることが多いです。

 以前は明確に「3年以上の勤務」等、勤務期間について明記されている場合が多くありましたが、現在はそこまで厳密ではない機関が多いようです。

公的融資の場合(住宅金融支援機構

民間と違って公的な融資にあたる住宅金融支援機構の場合はどうでしょうか。

◯申込時の年齢が70歳未満の方

日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方

 住宅金融支援機構フラット35)の場合は申込要件としてはこれだけです。

 団体信用生命保険についても加入は任意になりますし、かなりハードルは低くなります。

どれくらい借りれる?

 借り入れ条件はクリアしたとして、実際にはどれくらいの融資を受けることができるのでしょうか。

基本的には「返済負担比率」で考える

 「返済負担比率」とは借り入れを起こした際の毎月の返済額が、収入に対してどれくらいの比率を占めるのか、を示す数値です。

 基本的には  

 ◯年収400満円未満の方 ・・・ 30%以下  

 ◯年収400万円以上の方 ・・・ 35%以下  

 までの借り入れが可能と言われています。  

実際に計算してみよう

 では、実際に計算してみましょう。

 年間の返済額や収入で考えると少し面倒なので、計算するときは月収、月々の返済額に直します。  

※ここからの計算は、すべて借り入れ機関35年間の前提です。  

※金融機関により、詳細な条件は異なりますのであくまで目安です。  

 

例)年収450万円の方  

450万円/12ヶ月=37.5万円(ボーナスも、月々に均して計算します)  

37.5万円×35%=131,250円  

これで、月々131,250円までの借り入れが可能なことがわかります。  

 現在の金利状況ですと、100万円借りた場合の月々の返済額は約3,000円ほどですのでこれを元に計算すると…  

131,250円/3,000円×100万円=4,375万円

まで借り入れが可能なことがわかります。  

 ただしこれは、他に借り入れがない場合の限度額で、既存借り入れ(車のローンなど)がある場合は、それも考慮する必要があります。  

例)年収450万円 車のローンで毎月3万円返済中の方  

 先ほど計算したとおり、年収450万円の方であれば毎月返済額131,250円まで借り入れが可能です。  

 ただし、今回はすでに車のローンが毎月3万円ありますので毎月の返済額の上限は

 131,250円−30,000円=101,250円

 までの借り入れとなります。

 先ほどと同様、これを100万円あたりの返済額で割ると

 101,250円/3,000円=3,375万円までの借り入れが可能

 であることがわかります。

返せる金額と借りれる金額は違うので注意!

 ここまで、借り入れ可能な「限度額」の計算をしてきましたが、あくまで「限度額」なので返せる金額とは異なりますので注意しましょう。

一般的には年収の「25%」が理想的?

 年収450万円のご家庭で、毎月13万円の固定費は、返済不可能な金額ではないと思いますが、急な出費が嵩んだり、趣味にお金を使いたい方にしてはかなり厳しい金額になるのではないでしょうか。  

 様々なお金の知識を有する「ファイナンシャルプランナー」の方達によれば、年収の25%程に借り入れを抑えると、その他の生活にも余裕が持てるとのことです。

 年収450万円の方であれば 毎月返済額=93,750円、住宅ローンに換算すると3,125万円ほどの借入に抑えると良さそうです。

結局は自分自身で返せるかどうかの判断が必要

 これまで計算してきたのはあくまで一般的な計算です。

 実際のところ「他を切り詰めてもいい家に住みたい」「毎月旅行に行くお金は絶対に残したい」などなど、住宅以外にどんなことにいくらの出費があるのかは家庭により異なります。

 結局のところは自分で返せるのかどうか、支払う価値があるのかどうかの判断を行うことをお勧めいたします。

まとめ

◯転職直後でも金融機関によってはチャンスあり!

◯低金利時代のため、借り入れ可能額は思ったよりも多い!

 現在は、住宅ローンは非常に借りやすい時代になっています。

 とはいえ、借りすぎてしまうと後々の生活が苦しくなってしまう…なんてこともありますので、ご家族でしっかり話し合い、自分たちにあった借入額を考えましょう!

住宅展示場の見方 注意すべきポイント

憧れのマイホーム、注文住宅。 いよいよ買うぞ!と意気込んで住宅展示場に乗り込んだはいいものの各社の豪華な住宅設備に圧倒され結局どのメーカーがいいのか、何をみればいいのか… 何も分からずに貴重なお休みを潰してしまうなんてことを経験された方も多いはずです。 今回は、そんな失敗や不安を解消すべく展示場で注意するべきポイントをまとめました!

とにかく豪華な住宅設備に惑わされない

 展示場に入ったことのある人はわかると思いますが、ローコストメーカー、大手メーカーに関わらず展示場はとてもオシャレで、広々作られていて圧倒されますよね…  でも、そこには注意が必要です!
展示場は「夢」を与える場所
 住宅展示場に入った瞬間、「今のアパートと変わらないな」なんて感じだと「いまの賃貸のままでもいっか」って思っちゃいますよね。   当然それだと話が進まなくなってしまうので展示場はとにかく豪華で「こんな家に住みたい!」と思ってもらえるような作りにしています。   ですがその豪華な設備は「多額のオプション料金」を支払わなければ手に入らない設備の場合がほとんどのため、注意が必要なのです。
オプションに関してはしっかり確認
 前述したように展示場についている設備は高額なものが多く、メーカーが定めたベースの金額にさらに数百万円上乗せしないと手に入らない設備が非常に多く設置されています。   そのため、気に入った設備(キッチンや洗面台など)があったら、迷わず「これはいくらですか?」と質問してしまいましょう。

住宅メーカーの特徴をつかむ

 金額はさておき、多数あるメーカーの中から一社を選ぶわけですから何か明確な「違い」を理解して比較したいですよね。  どうすればうまく比較できるのでしょうか。
おしゃれなキッチンはオリジナルですか?
 やはり展示場で「特徴」というと見た目を意識しがちです。  向こうのキッチンの方が好みだな〜とか、洗面所の収納が便利そうだな〜とか、そういう感想が強く残りがちです。  しかし!そのキッチンを作っているのは「LIXIL」などのキッチンメーカーですので、つまりどこのハウスメーカーで建設したとしても採用することのできる商品なのです。  目が行きがちなポイントですが、実はハウスメーカー工務店を比較する基準にはなりませんので、最初の段階ではあまり意識しなくてもいいポイントなのです。
注文住宅の場合、「間取りの訴求」がメインは注意!
 キッチンなどの住宅設備に特徴が現れないのであれば間取りはどうでしょう。  これもモデルハウスによって色々な工夫がされており、一軒一軒違いを感じられると思います。  が、しかし。あなたが買おうとしているのは注文住宅ですから、当然のことながら間取りは自由自在に変更できます。ハウスメーカーごとに考え方とか理念というものがあるので、先方から提案される間取りについては確かに違いが出るとは思いますが、最終的には購入者自身の意思が尊重されますので、これも特徴とは言えません。

結局ハウスメーカーの特徴や違いってどこなの?

 展示場で目に見える部分にはあまり差が出ない… のであれば一体どこに差が出るのでしょうか。  細かく上げて行くときりがないのですが… 代表的な部分をいくつかまとめてみました。
実は大きな差がある「耐震性能」
 なんとなく、「今の新築なら大抵どれでも強いんでしょ?」と思われる方が多くいらっしゃいますが、実はハウスメーカーによって大きな差があります。 2016年に起きた熊本地震においては築5年ほどの鉄骨住宅なども倒壊の被害を受けています。 耐震性能の比較は「耐震等級」を各社に聞いて回ると簡単に比較できますので活用しましょう!
過ごしやすさに圧倒的に差が出る「気密・断熱性能」
 これも新築住宅ならどれでもいいんでしょ、という方がほとんどなのですが、圧倒的に差が出てきます。 ここに差がつくと、冷暖房の「効き」に差がついてきますので過ごしやすさはもちろんのこと、毎月の光熱費についても圧倒的な差が出ますので押さえておくべきポイントの一つです。 これは「断熱性能=Q値・UA値」「気密性能=C値」でしっかり数値で比較できます!
長く・安心して暮らすための「耐久性能」
 耐久性能にもメーカーごとに差がつきます。 耐久性能が劣るということは、途中のメンテナンスに必要になるお金が増えるとういうことです。 定期的にメンテナンスが必要な主な箇所は「外壁」「屋根」「構造躯体(シロアリ)」の三箇所になると思います。 これはなかなか数値で示しづらい点になりますので「何年ごとに」「どこにいくらかかるのか」を具体的に聞いて行くことで解決できます!

まとめ

【見た目に騙されない】【各ポイントを数値で判断する】  この2点は、的確に各社を比較する上で重要な項目になります。  細かな比較の仕方は別記事で紹介していきますのでぜひ参考にしてください。

展示場に行く前に考えること

こんにちは。 ふくたろうです。 注文住宅… やはり夢ですよね。 ただ、注文住宅は一生に一度のお買い物ですから、「今回が初めての購入」の方が大半になると思います。 買おうとは思ったけど… 「相場っていくらくらいだろう…」「どこにいけばいいんだろう…」「誰に聞けば…」などなど どうやって動き始めればいいのかというところから迷われる方も多いのではないでしょうか。 本日はそのあたりの疑問についての答えをまとめてみました!

どこにいけばいいんだろう

 注文住宅の購入を検討する場合、以下の2つの施設が大きな選択肢となります。
 最もオーソドックスな総合住宅展示場
 「◯◯住宅公園」の様な名称がついた場所が多いと思います。  総合住宅公園であれば大抵10社〜20社の住宅メーカーや地元工務店がモデルハウスを出店しており、営業マンが在籍しておりますので様々な話を聞くことができます。  ただし、平日などは特に営業マンが常駐していなかったり、土日でも繁忙期などは出払っていたりして満足な案内を受けられないこともあるので注意が必要です。  もともとお目当の会社が決まっているのであれば各社HPから「来場予約」ができることもありますので事前予約をお勧めいたします。
 スーモカウンターの様な総合案内所
 住宅展示場とは違い、相談者の要望を聞き取りお勧めの業者(会社)を紹介してくれる施設になります。保険でいうと「ほけんの窓口」みたいな感じで様々な会社の紹介が可能です。  ただし、紹介した顧客が実際に成約に繋がる事でインセンティブが発生する仕組みであるため、その時期によって「勧めたい会社」があるのは間違いありません。  ある程度はフラットに相談を聞いてくれるとは思いますがその辺りの「忖度」があることは忘れてはいけません。

どちらに行くにせよ行く前に考えたいこと

 「思い立ったらすぐ行動」も悪い事ではありませんが貴重な時間を使って相談に行くのであれば効率良く回りたいもの。  行く前に「具体的要望」を頭の中にまとめてから来店する様にしましょう。
 欲しいと思ったきっかけは潜在意識の掘り起こし
 具体的な要望と言われても難しい… と思われる方もいると思います。  その場合、やはり分かりやすいのはそもそもなぜ家を建てようと思ったのかを思い出す事です。 「子供が生まれて家が狭いから・部屋が足りないから」「アパート代がもったいないから」 「今の住まいが寒いから・老朽化」などなどきっかけは様々だと思います。 これらのきっかけ、場合によっては今の住まいに対しての不満というのはそのまま具体的な要望に繋がりますので一度しっかり見直しましょう!
 具体的項目への落とし込み
 上記の様なきっかけを具体的な要望に置き換えます。  例えば「アパート代がもったいないから」というのは「家賃は掛け捨て、いくら払っても自分のものにはならない」という資産形成の考えが根底にあるのではないでしょうか。  しかしこれには落とし穴があって… 実は日本の住宅の寿命は一般的に30年と言われています。 35年ローンを組んでやっと払い終わって… その頃には家の寿命がつき「建て替え」が必要になってしまうという可能性もあるのです。 「アパート代がもったいない」→「資産として残したい」→「長持ちする耐久性の高い住宅に住みたい」と考えていけば、具体的要望は「耐久性の高い家」になるという事です。 この様に具体的な要望が一つあれば、各メーカーの特色から選択肢が絞れてきますので相談もしやすくなると思います。  いかがでしたでしょうか。  これから夢のマイホームを検討するにあたって、自分の求めるものをしっかりと整理・認識してから行動に移す事で無駄なく後悔なく家づくりを進めて行くことができると思います。 ぜひ一度、頭の中を整理してみましょう。